AMOREPACIFIC STORIES X ガラス工芸家ヤン・ユワン
日常の中のささやかな休息は、体と心のバランスを取り戻すウェルネスの始まりです。AMOREPACIFIC STORIESのメインページでは、毎月新しいアーティストとともに、一つの作品から始まる休息と美の瞬間にスポットライトを当てています。作品と、その作品に込められた物語に触れながら、日常の慌ただしさをしばし忘れて、自分だけのウェルネスライフのためのヒントを見つけてください。

#Theme
ヤン・ユワンさんの照明「Bandi」は、空間にほのかな光を添えて、慌ただしい一日の中にささやかな休息のひとときをつくり出します。キラキラと光るホタルのように見えることから、そう名づけられた「Bandi」とともに、しばし心を、あるいは慌ただしかった一日を整える時間を過ごしてみてください。一つの作品がもたらす空気感の変化、そして、その中に見つけるウェルネスの瞬間へ、出かけてみましょう。
#Artist
こんにちは。MOWANI GLASSを営んでいるガラス工芸家のヤン・ユワンです。高温の中で形づくられたガラスそのものの美しさを守るために、素材を丁寧に扱い、加工する仕事をしています。日常でよく使われ、いつでも心地よい気分をもたらしてくれるガラス製品を制作しています。

#Artist Interview
Q. 今回のコラボレーションでつくられた作品をご紹介ください。
制作した照明の名前は「Bandi」です。光に乗って立ちのぼる気泡が、まるでホタルが植物にびっしりと止まって灯りをともしているように見えたことから、こう名づけました。一日はいつも慌ただしく過ぎていきますが、照明に一つひとつ残る気泡を眺めながら、ほんの少しでも自分の気持ちや周りを振り返る時間を持ってほしい、という思いを込めました。
Q. 制作するときに最も大切にしている原則のようなものはありますか。
やはり「止めるべきタイミング」を知ることです。ガラスをパイプで吹きながら整え続け、足し続けていくと、かえって当初の意図から外れてしまうことがあります。ですから、制作するときは自分の欲を少し抑えて、ガラスという素材が持つ性質と流れを見つめようとしています。自然にできあがる光と起伏を生かすには、ふさわしい瞬間に手を止めなければなりません。そうして生まれた曲線と、偶然によって生まれた余白が重なり合ったとき、その作品だけの固有の美しさが生まれるのだと思います。

Q. 美しいものを一つそばに置くだけでも、日常がずっと軽やかになることがあります。
工芸や芸術は、私たちの日常にどんな影響を与えるとお考えですか。
私は、芸術を通じて美しさの瞬間を心にとどめることができると信じています。一日のすべてが丸ごと気に入る日なんて、ないでしょう。けれども、一日の中で美しさを感じた瞬間がいくつかあったなら、それによって一日分のささやかな幸せを得たことになるのではないでしょうか。私自身も、自分の作品を通じて人々が日常でそんな「刹那の幸せ」を見つけられるようにと願いながら制作しています。
Q. ヤン・ユワンさんが考える「良い日常」とは、どのようなものでしょうか。
体と心が良い状態で一日を始め、その中で平凡な幸せを見つけることです。ですから私は、家で一食用意するときも、きれいな器に心を込めて盛りつけます。来客をもてなすときはもちろん、一人のときも同じです。きれいに盛り付けられた料理を見ると自分自身にちょっとしたご褒美を贈っているような気分になり、料理もよりおいしそうに見えるだけでなく、気分もずっと良くなります。結局、器が私をもてなしてくれているようなものです。こうしたささやかだけれど、丁寧な心配りが集まって「良い日常」をつくるのだと思います。

Q. では、ヤン・ユワンさんが考える「良いもの」とは何でしょうか。
私が考える良いものは「毎日手に取りたくなるもの」です。同じコップでも、なぜか自然に手に取りたくなるコップがあって、家にある複数の照明のなかでも、いつも灯りをつけたくなる照明がありますよね。毎日使うからほこりがたまらず、いつもそばにあるもの。私は、そんなふうにして食べて眠る日常に自然と溶け込み、私たちの生活を心地よくしてくれることが、良いものが持つ力だと思います。
そして、私がつくった作品も、そういう意味で人々の日常のなかに置かれることを期待しています。作品を通じて特別な何かを生み出すよりも、平凡だった一日に、しばし立ち止まれるささやかな瞬間を添えること。これが、私が自分の制作を通じて伝えたい価値です。
Q. ヤン・ユワンさんの作品は、どのような空間に最も似合うでしょうか。
決まった空間があるというよりも、ささやかな余白のある場所で最も輝くと思います。日常的に過ごす空間のなかに小さな居場所を用意してあげたとき、作品から出る光や影が空間の空気感を変えてくれるからです。
Q. 「Bandi」を通じて日常のなかでウェルネスを見つけたい方に、ちょっとしたヒントをいただけますか。
特別に何かをしようとするよりも、私はただ写真をじっと眺めてみることをおすすめしたいです。しばらく携帯電話から離れて、今日一日をゆっくり振り返るのです。そうして、少しの時間でも自分に集中する時間を持てば、日常の気分も少し変わりうると信じています。そんなささやかな立ち止まる時間が積み重なって一日が少し心地よいものになるなら、それが私の考える「Bandi」と過ごすウェルネスの瞬間なのだと思います。

Q. 日常のウェルネスのために実践している、ヤン・ユワンさんならではのルーティンはありますか。
私は熟睡を大切にしています。一般的にウェルネスと言えば、さまざまな動きを求められる運動やストレッチ、いろいろなセラピーを思い浮かべますが、私にとって最も重要なウェルネスの実践は、よく眠ることです。よく「寝るのが一番の薬」と言いますよね。十分にぐっすり眠ると体も心もずっと軽くなり、良いコンディションで一日を始められるのです。質の良い眠りは、健やかなライフスタイルをつくるとても基本的な要素だと思います。
Q. ヤン・ユワンさんが定義する「自分らしい美しさ(New Beauty)」とは何でしょうか。
自分らしい美しさについてのお考えが、普段の制作に与えている影響もお聞きしたいです。
私は、他人と比べないときにこそ自分らしい美しさへ向かっていけると思います。比較は目に見えるものを基準に行われますが、私たちが持つ美しさは目に見えない要素からできているからです。自分が放つ前向きなエネルギーや体温、香り、音、ゆとりといったものです。ひとえに自分自身から生まれるそんなニュービューティーをつくっていくためには、他人を気にするよりも、自分の中に健やかさと良いエネルギーを少しずつ蓄えていく時間を多くつくる必要があると思います。
芸術の制作というものもまた、誰とも比べられない仕事です。これは他人との比較はもちろん、過去の自分とも比べてはいけないと思っています。比較よりも、そのときどきの自分をありのまま作品に込めようとしています。そうして比較から自由になる姿勢が、制作に自分らしい美しさを溶け込ませる私なりの方法です。
Q. 最後に、「Bandi」を通じて人々に伝えたい言葉があればお願いします。
「Bandi」の作品写真が、誰かの心にささやかな残像として残ってほしいと思います。おぼろげであっても、特別で心地よかった瞬間として。こうした記憶を通じて、私たちが何気なく通り過ぎてきた日常の中のささやかな美しさを、集めてみていただければと願っています。
ヤン・ユワンさんの「Bandi」の作品画像を保存してお楽しみください。
*写真は個人での保存・鑑賞を目的とした利用に限ります。商業目的でのご利用はできません。
About the Artist
ヤン・ユワン(Yoo Wan Yang)はガラス工芸家であり、ガラス工芸ブランド「MOWANI GLASS」の代表だ。大学の卒業制作がミラノ国際家具見本市(ミラノサローネ)に招待され、アーティストとしての活動を始めた。韓紙や牛の角など韓国的な素材をガラスと組み合わせた型にとらわれない作品を発表し、ロンドン・デザイン・フェスティバルなど国内外の展示やブランドとの協業を活発に続けている。
Like
0Recommend
0Thumbs up
0Supporting
0Want follow-up article
0