NEXT SPACE:ブランドは空間の中でどのように読み取られるのか - AMOREPACIFIC STORIES
#Creative Story
2026.01.13
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NEXT SPACE:ブランドは空間の中でどのように読み取られるのか

多様なグローバル市場におけるブランド体験設計の記録

 

カン・ヘイン、イ・ジュノ、チョン・スミン、チョ・ヘジン ネクストスペースチーム

グローバル市場において、ブランドをどのように見せるか。これは単なるディスプレイにとどまらず、お客さまの文化や消費パターンを読み解き、それに合う体験を設計する戦略的な課題です。ネクストスペースチームは、英国のBoots、日本のイオンモール、マレーシア進出20周年ポップアップ、ドバイのBrand Showcaseに至るまで、さまざまな国とチャネルにおいて、空間を通じてブランドの価値を具現化するプロジェクトを進めてきました。それぞれのプロジェクトは、現地のお客さまのニーズを反映しつつも、アモーレパシフィックのアイデンティティを保つバランス点を探るプロセスであり、その中で私たちはグローバル空間戦略の本質を、改めて考え直すことになりました。今回のコラムでは、4つのプロジェクトを通じて、国・チャネル・お客さまの特性・背景に応じて空間戦略がどのように変わっていったのかを見ていき、そこから得た気づきを共有します。

 

 

 

 

英国から始まったK-Beautyの新たな潮流

 

2025年10月、英国Bootsの店舗にK-Beautyゾーンが初めて新設されたとき、このプロジェクトが単なる「出店」以上の意味を持つことになるだろう、という予感がありました。韓国で見慣れていた商品が、新しい文化や環境の中でも自然に受け入れられていく様子を見て、K-Beautyがこの英国市場で、すでに一つの潮流になっているという事実を実感しました。特に、Bootsでは、韓国のスキンケア商品が30秒に1個販売¹⁾されるほど、K-Beautyが確かなトレンドとして根づいており、その変化は現場でよりはっきりと感じられました。

 

 

* Boots Beauty Trends Report 2025



 

 

プロジェクトの初期段階では、アモーレパシフィック・カンパニーのグローバルブランドイメージを土台に、三つのブランドを一つの統合された「ゾーン」として構成する方法を検討していました。しかし、英国の美容トレンドを調べてみると、現地のお客さまはブランドネームよりも商品そのものの魅力を重視する傾向が強くありました。Bootsが近年、多様なK-Beautyブランドを積極的に広げている流れも、こうした消費パターンを裏打ちしており、これに沿って商品中心の構成は必須の戦略として定着しました。

この過程で、次なる検討事項が、空間のタイトルでした。当初は「K-Beauty by Amorepacific」を念頭に置いていましたが、英国のお客さまにとっては、アモーレパシフィックという名前よりもBootsとの協業構造の方が直感的で信頼感を持って読み取られる、と判断しました。「by Boots」「Boots x Amorepacific」のように協業の意味を前面に打ち出すワーディングを採用するために、Boots側を説得し、調整するプロセスが必要でしたが、英国のビューティー市場でBootsが持つ影響力を考えれば、この選択はK-Beautyの現地化戦略をよりはっきりと浮かび上がらせた、決定的な要素になりました。



 

 

こうした分析を土台に、今回のBoots K-Beautyゾーンは、これまでの統合戦略から離れ、「商品を中心に体験が始まる空間」として新たに設計されました。まるで英国のお客さまのためにキュレーションされた小さなK-Beautyのセレクトショップのように、マモンド、プリメラ、イリユンがそれぞれの個性を保ったまま、一つの空間の中で自然につながっていくように構成しました。

 

 

 

 

特に、今回のK-Beautyゾーンでもっとも大胆に変化を加えた部分は、最上段のディスプレイ方式でした。MBSに統合ブランドで出店する場合、一つの壁面棚に複数のブランドが一緒に入るため、ブランドごとに均等に空間を割り振り、最上段には主力商品をまとめて見せる「演出ゾーン」を構成します。しかし、今回はこの演出ゾーニングをやめて、1段目からすぐにブランド商品を配置する方式を選びました。短い時間でもブランドの個性と商品の魅力をそのまま比較して選べる方法であり、これは英国のお客さまがK-Beautyを消費するスピードや好みにもよく合ったアプローチでした。加えて、MBSの壁面棚はもともと空間がとても狭く、VMDを盛り込みすぎると在庫の出し入れが難しくなり、商品説明や画像の配置が過密になることで、肝心の商品が見えなくなるという逆効果が生じていました。これを解決するために、各棚の両端のVMDを斜めに切り落とした三角柱状へと変えました。この方式によって視覚的に密集して見えるのを抑えながらも、ブランドごとのメッセージを効果的に伝えることができ、なにより商品中心のディスプレイを妨げないという点で、非常に現実的で効率的でした。

このプロジェクトを通じて、計47のBoots店舗で英国のお客さまと出会う、意義ある第一歩を踏み出しました。

 

 

日本のイオンモールMBS店舗のお話:6つのブランド、一つのアモーレパシフィック

 

日本のイオンモール大日(ダイニチ)店に、アモーレパシフィックのMBS店舗をオープンするプロジェクトを進めました。新しい流通環境に合わせて、統合的なブランド体験を具現化することが、核心的な課題でした。

 

イオンモール大日店

Glam Boutique

イオンモールは、韓国のスターフィールドに似た郊外型の大型ショッピングモールですが、生活消費を目的として繰り返し来館するお客さまの割合が高い、暮らしに密着したチャネルだという点で違いがあります。特に「Glam Beautique(グラム ビューティーク)」に割り当てられた空間は、マート型の売り場に近い環境で、お客さまは店舗にとどまるよりも、移動の合間の短い時間の中で商品を認識し判断する、というショッピング行動が見られました。

イオンモールという流通チャネルへの初出店であるだけに、日本のブランドとの差別性を確保すると同時に、約2坪の限られた空間の中に「アモーレパシフィック」という統合ブランドの視点から、6つのブランドのアイデンティティを効果的に打ち出すことが、プロジェクトの核心でした。特にお客さまの滞在時間が短いイオンモールのショッピング環境を踏まえ、一目で認知される什器の外観と合わせて、ブランドが優先的に認知される店舗体験を実現することに、優先順位を置きました。



 

 

FLOOR PLAN

3D RENDERING

VMD POG

 

 

このために、まず「什器全体に通じる共通のデザイン言語」を定めました。出発点としたのは、アモーレパシフィックのグローバル本社のファサードで、グレートーンを土台にした垂直的なルーバーの印象を、アルミルーバー板材を用いた什器としました。これはアモーレパシフィックの象徴性を持たせると同時に、認知度や性格が互いに異なる6つのブランドを、一つの「アモーレパシフィック」として認識させる、統合的な仕掛けとして機能します。また、日本のお客さまの最初の視線が各ブランドへと自然に向かうように、ブランド名は什器の最上段に大きく配置し、その上に「AMOREPACIFIC」のロゴを配置することで、個別ブランドの認知が統合ブランドへと広がるよう、視覚的な階層を適用しました。

 

 

 

常駐スタッフのいないイオンモールの環境を考慮し、すべてのVMD要素は現地で入れ替え時にも簡単に交換できるよう、紙素材を用い、構造を単純化して運営しやすく整えました。またイオンモールと協議し、ゴンドラ前面の余裕のあるスペースを積極的に活用して、三角形のアイランド什器を追加で設置しました。この空間は、6つのブランドのベスト商品を一目で見せるキュレーションゾーンとして構成し、アモーレパシフィックをよく知らない日本のお客さまも、売り場で商品を気軽に体験できるようにしました。

2025年10月にオープンした大日店の店舗は好意的な反応を得ており、イオンモールおよび日本法人と共に、追加店舗展開についても議論を進めています。

 

 

マレーシアのお客さまとともに祝う20周年バースデーパーティ

 

マレーシアでK-Beautyの存在感を一歩ずつ積み重ねてきたこの20年を記念して、クアラルンプールのサンウェイピラミッド・モールで小さなフェスティバルを開きました。今回のポップアップは、イニスフリー・ラネージュ・雪花秀(ソルファス)の3ブランドを体験する場であると同時に、企業「アモーレパシフィック」をマレーシアのお客さまにあらためて印象づける空間でもあります。

 

 

 

 

企画の出発点は一つでした。「お客さまに『20周年』というテーマを、どのような方法で体験していただくのか」。現地法人からは、今回のイベントのターゲットが20〜30代、特に大学生を含む若年層であるため、ゲームやプレゼントの贈呈を中心とした、気楽に楽しめるイベント型のポップアップが適しているという意見が寄せられました。本社で行ってきたさまざまな事例のコンセプトやイメージを共有しながら議論を重ねた末に、かつて本社で運営したBTS・SEVENTEENのポップアップからヒントを得て、フェスティバル・ムードの「バースデーパーティ」というコンセプトへと方向性を固めました。ポップアップの中央には、バースデーパーティのフォトゾーンとなる大型ケーキオブジェを配置しました。このオブジェは、お客さまの視線が自然に向かう中心装置であり、また空間全体のコンセプトを一目で説明してくれる象徴の役割を担いました。

次の検討事項は、明るくカジュアルなポップアップの中に、「企業ヘリテージという、やや重みのあるメッセージをどのように自然に盛り込むか」でした。「アモーレパシフィック進出20周年」というタイトルを踏まえれば、ブランド空間のほかにも企業のストーリーが少しでも伝わってほしいと考えていたのですが、ブランドブースを構成してみると、ヘリテージのために別途の空間を確保することが難しくなりました。そこで、中央のケーキオブジェの各上面を活用して、「企業ヘリテージと最初・最高のストーリー」を、まるでトッピングのようにあしらいました。ケーキは、フォトスポットであると同時にメッセージを伝える仕掛けともなったのです。また、空間の中心を担う大型スクリーンを通じて、80周年ブランドフィルムと各ブランドの映像を合わせて流し、現場に躍動感を与えつつ、メッセージが自然に届くよう構成しました。

 

 

 

 

約115坪という広い規模の空間を効果的に埋めていくことも、検討課題でした。そのためには、フェスティバル・ムードを効果的に具現化できる「グラフィックの採用」を戦略としました。空間全体を統一感のある雰囲気のグラフィックでまとめ、イベントのモバイルページ、プロモーション動画、ステッカーなど、さまざまな媒体に同じグラフィックを展開していく中で、一貫した雰囲気がもたらす力を改めて実感することができました。

各ブランドの空間は本社とマレーシア法人の協業で完成させ、法人側のデザインディテールやゲームコンテンツがしっかりしていたおかげで、ポップアップ全体の完成度もおのずと高まっていきました。マレーシアは大型モール文化が発達しているだけに、内装制作力と実行力に優れた市場だということも知ることができました。なにより現場に直接立ち、楽しくポップアップを体験されるマレーシアのお客さまの姿まで見ることができ、大きな意義がありました。

 

 

ドバイ Brand Showcase、中東市場に向けた最初のごあいさつ

 

中東全体のGDPの約60〜70%を占めるGCC 6か国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーン)は、グローバルなビューティー市場においても戦略的に重要な地域です。アモーレパシフィックは、この地域で共に歩む最適なディストリビューターを選定するために、2025年9月にドバイでAmorepacific Brand Showcaseを開催しました。

ネクストスペースチームは今回のイベントを通じて、ブランド紹介にとどまらず、アモーレパシフィックの企業哲学と中東市場のビジョンを空間として伝える役割を担いました。

 

 

 

 

中東地域における初の公式イベントとなった今回は、いくつもの挑戦すべき課題がありました。中東地域における経験が十分ではない状態で、一般の購買層ではなく流通会社の関係者という特殊なお客さま層を対象とし、一つの企業イメージの中で、異なる8ブランドをそれぞれいかに魅力的に見せるか、という課題もありました。決められた進行に沿って行われる短いイベントの中に、これらをすべて盛り込み、アモーレパシフィックへの信頼を築いていかなければなりません。

ディストリビューターの入場から退場まで、プレゼンテーション、食事時間、休憩時間などのイベントスケジュール表に沿って動線をシミュレーションしながら、空間を設計しました。



 

 

Brand Manual

Floor Plan

Scene Direction

 

 

イベント会場となったマンダリン オリエンタル ホテルは、ドバイの中心部に位置する高級ホテルで、アモーレパシフィックのイメージを調和させて演出するために、会場の中に一つの店舗を設けることに決めました。プレゼンテーションが終わる時点で会場後方のカーテンが開き、ブランドゾーンが姿を現すという劇的な演出によって、空間転換の瞬間を一つのシーンのように体験していただけるよう構成しました。3面のパーテーションとゲートを立てて、ホテルの内装に影響されない独立した空間を作り出し、8ブランドすべてが調和して見えつつも、それぞれの領域を持てるように、[壁面棚+ビジュアル+商談コンソール]というモジュールで構成しました。これによって、ディストリビューターがコンソールに常駐する担当者と対話しながら、一つのブランドを丸ごと体験できるようにしました。

 

 

イベント参加者が流通会社の関係者であったため、信頼関係を築くことが重要だと判断しました。ホールのフィンガーフードが提供されるバーの横に仮設の壁を設け、アモーレパシフィック ヘリテージウォール(Heritage Wall)をつくり、参加者同士が交流する中で自然に触れていただけるよう構成しました。中東市場でとくに魅力的に受け止められる、未来志向で革新的なイメージのコンテンツを厳選して構成しました。R&Iセンターとグローバル本社、Create New Beautyのビジョンを大型スクリーンで流し、革新技術とグローバルな企業力をご紹介し、K-Beautyを牽引してきたアモーレパシフィックの企業哲学と中東市場のビジョンを、発信しようとしました。 ​‌



 

 

4つのプロジェクトはそれぞれ異なる環境で始まりましたが、共通の目標は一つでした。「空間を通じてブランド体験を最大化する。」英国Bootsでは商品中心のキュレーションで、日本のイオンモールでは統合ブランドアイデンティティ、マレーシアの20周年ポップアップでは企業ヘリテージとブランドストーリーをつなぐ方法で、ドバイBrand Showcaseではバイヤーを対象とした信頼関係を築くための空間演出で、その答えを見いだしました。これらの経験は、単なる店舗デザインにとどまらず、アモーレパシフィックがグローバル市場においてブランドを発信していく戦略を示しています。今後、ネクストスペースチームは、こうした気づきをもとに、さらに多くの市場で新しい空間戦略を試み、広げていきます。私たちの小さな選択によって、お客さまの記憶の中にブランドがくっきりと残ることを願っています。

 

 

 

 

Creators
Yuseok Heo NEXT SPACE Team
Haein Kang NEXT SPACE Team
Jiyoung Baek NEXT SPACE Team
Junho Lee NEXT SPACE Team
Bora Im NEXT SPACE Team
Sumin Jung NEXT SPACE Team
Hyejin Cho NEXT SPACE Team
Younghoon Hyun NEXT SPACE Team

 

 

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