一つの商品が売れるまで | #4 プロモーションとUXの間で選択の条件を設計する
Columnist
パク・ヒョンジン オソルロクeコマース営業チーム
Editor's Note
数字では見えにくいもの、しかし実際には毎日決定していること。このシリーズはその瞬間がどのように生み出されているのかについての話だ。私たちの日々の選択――どの商品を最初に見せるのか、どのような言葉で語りかけるのか、どのような流れでお客様をご案内するのか――について企画者の視点で一つずつひも解いていこうと思う。
同じ人でも、状況が変わると行動も変わる

出典:AI生成画像
数日前、オンラインで8千ウォンの生活用品を一つ買おうとしていたが、決済をやめた。商品の値段そのものは負担にはならなかったが、送料が3千ウォンだとわかった瞬間、なぜかもったいないと思った。送料無料まであといくらなのか確認し、結局、特に買うつもりもなかった商品を一つ、カートに追加した。送料3千ウォンを節約するために、それ以上のお金を使ってしまったわけだ。だが、数か月前に家具を買うときは違った。商品の値段もはるかに高く、送料も数万ウォンだったが、悩むこともなく決済した。数万ウォンは気にならないのに、3千ウォンは惜しい。数字だけを見ると、かなりおかしな行動だ。
このようなおかしな行動を説明する概念がある。行動経済学者のリチャード・セイラーが提唱した「心の会計(Mental Accounting)」だ。人はすべてのお金を同じお金として計算するのではなく、心の中で用途や状況に応じて、まるで異なる口座を使うように分けて判断する。同じ金額でも、何のための支出だと判断するかによって価値が異なる。
私もまた、3千ウォンを単なる3千ウォンとは見ていなかった。8千ウォンの商品の横に書いてある送料は「商品ではないところに消えてしまうお金」のように感じたが、大きな家具を家まで配送してくれる数万ウォンは、「配送というサービスを買う費用」として受け入れていた。絶対的な数字が違うからではなかった。そのお金に自分が付けた名前が違ったからだ。
オンラインショップを運営していると、こうした辻褄の合わない行動をよく目にする。最初は、お客様の行動に予測可能な法則があると考えていた。送料無料の基準をつくれば、客単価が上がる、選択肢が多すぎると購入決定が難しくなる、決済までのステップは短ければ短いほどよい、特典は目につくように表示すべきだ、といったことだ。このような予想が完全に間違ってはいないと思う。ただ、仕事を続けるうちに、その法則の一つ一つに疑問を持ち始めた。
より多くを見せることが親切なのか

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初めてプロモーションページを作成するときは、何をさらに盛り込むかについて悩んだ。新商品を紹介しないといけないし、ベストセラー商品はお客様がよくお買い求めになるので、目立つように表示する必要があるし、割引クーポンも見逃されないようにしないといけないし、先着順の特典や追加ポイント付与のように、期間に応じて異なる情報もあった。一つ一つ見ていくと、すべて見せるべき理由があった。商品をさらに一つ追加し、特典をさらに一つ説明し、バナーを一つ追加した。漏れのないようにすべての情報を共有するほど、ますます親切なページになるように思えた。
そんなとき、ふと逆の視点で考えてみた。私たちはお客様に有益な情報をより多く提供しているのか、それとも、お客様が知るべき情報ばかりを増やして、むしろ負担をかけているのではないか。画面に情報を一つ追加すれば、テキストが一行増えるだけでは終わらない。新たに入ってくる情報は、すでにあった情報と、ユーザーの関心を引くために競争する。重要度が似たバナーや商品を次々と並べ始めると、あらゆるものが強調されたにもかかわらず、実際に必要な情報が目に入りにくくなる。
1930年代初めのロンドンでも似たような問題があった。当時、ロンドンの地下鉄のネットワークは次第に複雑になっており、初期の路線図は実際の地形や距離を忠実に表現した地図に近いものだった。しかし、実際の比率どおりに描くと、駅が集まる中心部はあまりにも密集し、郊外は広いスペースを占めた。現実を正確に表示するほど、乗客が本当に知りたい経路は見つけにくくなった。そのとき、電気回路図の製図を手がけていたハリー・ベック(Harry Beck)が新たな方式の路線図を提案した。彼は実際の地理や距離の表現の相当部分を諦めた。路線を水平と垂直、一定の角度の線で整理し、実際の距離が異なる駅もほぼ同じ間隔で配置した。
地理的には以前よりは正確さの劣る地図だった。しかし、乗客はむしろ道を簡単に見つけることができた。地下鉄に乗る人にとって駅と駅の間の実際の距離は、それほど重要ではなかった。どの路線に乗り、どこで乗り換え、どの方向に行けばいいのかのほうが重要だった。ベックがなくしたものは、目的に必要ない情報だった。
この話を読んだとき、プロモーションページのことが思い浮かんだ。自分が知っている情報をすべて表示することが、必ずしもお客様にとって最も正確で親切な体験になるとは限らないのではないかとふと思った。お客様が必要とするかもしれないあらゆる情報を共有するよりは、お客様が決定を下す、その瞬間に必要な情報が、きちんと表示されているかがより重要だ。
では、選択肢を減らせばいいのか

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それ以来、ページを見るときに自問することが少し変わった。「この情報も重要だから追加しよう」より「お客様はここで何を決定すべきか」をまず考えた。例えば、プレゼントを選ぶお客様に、オソルロクのギフトセットを可能な限り多く表示することは難しくない。けれども、商品が10個から20個になれば、選択肢が2倍になると同時に、比較する対象も2倍になる。
これに関連して行動科学でよく言及される実験がある。研究チームは食料品店で、あるときは24種類のジャムを、別の条件では6種類のジャムを陳列した。多くの種類を見せたとき、より多くの人が立ち止まって見たが、実際の購入につながる割合は限られた選択肢を見せたときの方が高かった。
初めてこの研究のことを知ると、結論は簡単に思える。「商品を少なく見せればいいのだ」と。
私も一時期同じように考えた。商品数を減らし、「3万ウォン台のプレゼント」、「両親に贈る素敵なプレゼント」、「お茶を初めて楽しむ方にお勧めするセット」のように、いくつかの基準をつくれば、より素晴らしい体験になると考えた。実際にオソルロクのようなブランドのオンラインショップでは、かなり有効なやり方だ。すでに「オソルロク」という範囲の中に入ったお客様が、自分に合ったお茶やプレゼントを見つけられるように、選択の基準をつくれるからだ。ところが、ショッピングプラットフォームを見ていて、再び疑問が生まれた。選択肢が少ないほど素晴らしい体験なら、数多くの商品を持つプラットフォームは、最も不便なサービスになってしまうはずではないのか。
しかし、私が消費者としてオンラインプラットフォームを訪れる理由の一つは、むしろ商品が多いからだ。検索すれば、たいていのものはあるはずだという期待がある。ブランドのオンラインショップとプラットフォームは、そもそもお客様にもたらす価値が異なる。ブランドのオンラインショップでは、ブランドの中で自分に合った商品を見つけやすいことが重要だが、プラットフォームでは複数のブランドや商品を、一か所で比較できるということ自体が価値となる。
だから、プラットフォームは、商品数を減らさないのだ。その代わりに検索とフィルター機能をつくり、レビューやランキングを表示し、お勧めをつける。選択肢はそのままにし、それをすべて検討する手間を減らしたのだ。
同じオソルロクモールの中でも、お客様に必要な基準は異なる。普段好んで飲んでいるお茶をもう一度買うお客様は、お望みの商品を素早く見つけたいと考える。一方、プレゼントを選ぶお客様は予算やサイズ、贈る相手の好みを比較できる基準が必要だ。お茶を初めて楽しむお客様には、商品名よりも味や香りを理解できる説明が優先されることもある。
だから、最近ギフトカテゴリーを見るときも、商品の個数を数えるよりも、お客様が何を基準に選択するのかを先に考える。価格帯が必要なのか、プレゼントのサイズが必要なのか、お茶の種類や好みを分けて表示すべきなのかを検討する。重要なことは選択肢の多寡ではなく、お望みの商品にたどりつくために、不要な比較をどれくらいしなければいけないのかだった。
煩わしいことが必要な瞬間もある

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選択肢と同じくらいよく聞くUXの原則がある。お客様が購入のプロセスで直面する「摩擦」を減らす必要があるということだ。クーポンを受け取るためにメニューを何回も行き来する必要はない。予約購入商品を別の商品と一緒に注文したとき、別の商品まで遅れて配送されるということを決済した後にはじめて知らせるのも、素晴らしい体験とは言えない。このような手間は減らすのが正しい。
ところが、すべての摩擦が悪いわけではない。銀行のアプリで100万ウォンを送金するとき、最後の確認画面がもう一度出てくるからと言って、必ずしも煩わしいUXだとは感じない。クリックは1回増えるが、受け取る人や金額を再確認できるので、むしろ安心できる。プレゼントもほぼ同じだ。自分が飲むお茶を一つ注文するなら、できるだけ早く決済したいこともある。しかし、大切な人に贈るプレゼントなら、配送先や贈る相手、出荷日をもう一度確認するプロセスは煩わしいだけのものではない。同じクリックでも、ある瞬間は障害物となり、またあるときはミスを防いでくれる仕組みとなる。ここでは、摩擦の有無よりは摩擦が必要な理由が重要だ。
オソルロクモールでも、「このクーポンはどこで受け取るのか」と悩むことは、なくすほうが良い。しかし、「この人には香ばしいお茶が良いだろうか、香り高いお茶がいいのだろうか」という悩みまでなくす必要はない。その悩みは誰かを思い浮かべながらプレゼントを選ぶプロセスの一部なのかもしれない。その代わり二つの違いをわかりやすく理解し、比較できるように、手助けすることが私たちの役割に近いと言える。
だから、最近は「お客様の悩みを減らす必要がある」という言葉も少し違って受け止めている。良いUXは、お客様が何も考えないようにつくるのではなく、考える価値のないことにエネルギーを使わないようにつくることに、より近いように思う。
良い事例を見たとき、自問の内容は変わった

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初めて自社オンラインショップの業務を始めたときは、ほかのサービスを見ながら良い機能を見つけたらすぐに記録した。「商品はこんなふうに表示するのがいいのだ。送料無料の基準は、この程度でいいのだ。先着順の特典は、こんな時間に開始するのだ」と。そして、自然に「うちもやってみるのはどうだろうか」につながった。今も他のオンラインショップやプラットフォームを結構見ている。しかし、今は良い機能を見つけたらすぐに取り入れるのではなく、まず自問するようになった。なぜここではこのようにしているのか。
あるサービスでは商品数を減らすことが良い選択であるケースがあり、他のサービスでは多くの選択肢を維持しながらフィルター機能を提供することが良いケースがある。あるプロセスではクリックを1回減らす必要があるが、取り消しが難しい選択の際には、確認段階を敢えて残しておくこともある。
表面的には、逆のUXだ。しかし、もう少し掘り下げていくと、すべてそのサービスを利用する人が何をしに来たのかとつながっている。だから、他のサービスをベンチマークするとき、最も危険な瞬間は、結果だけ取り入れて、その結果が生み出された理由は見逃す瞬間なのかもしれない。良い事例を多く知っているだけでは、十分ではなかった。その事例がどのようなお客様と状況で素晴らしい体験となったのかまで理解してこそ、私たちに合った選択を行うことができた。
正解に条件をつけること
仕事を始めたときは、良い企画者になるには正解を多く知る必要があると考えていた。どの特典が購入を生み出すのか、商品はいくつ表示するのが良いのか、決済段階はいくつが適切なのかなどの答えを一つずつ積み上げていけば、いつかは企画が簡単になるように思えた。
しかし、仕事を続けるほど正解をより多く知るようになったというよりは、知っていた正解に条件を一つずつ付けるようになった。
「特典は大きいほど良い」から
「今、このお客様にとって意味のある特典である必要がある」へ。
「選択肢は少ないほど良い」から
「選択しやすくする必要がある」へ。
「クリックは少ないほど良い」から
「必要ないクリックは少ないほど良い」へ。
同じ人でも今日飲むお茶一缶を買うときと、誰かに渡すプレゼントを選ぶとき、重視することが変わる。目的が変われば素晴らしい体験の在り方も変わる。
第3話では、数字が答えを与えるのではなく、問いを残すという話をした。仕事を続けながら、UXでも似たようなことを学んでいる。数字には問いが必要であり、UXには文脈が必要だった。だから、最近私は正解をより多く知ることよりも、正解が成立する条件を自問しているように思う。そして、もしかすると、企画という仕事は、一つの完璧な正解を見つける仕事ではなく、それぞれ異なる条件の中で、今最も良い答えを選び確認する仕事なのかもしれない。
次の最終話では、そのように仮説を立て、選択し、間違え、再び修正しながら一つの商品を売ってきたプロセスについて、お話ししようと思う。一つの商品が売れるまで、私たちが繰り返してきた数多くの選択について。
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