多様な構成員とインクルーシブな文化 - AMOREPACIFIC STORIES
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2026.01.13
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多様な構成員とインクルーシブな文化

DEI インサイト #5

 

文

カン・イェリン CSRチーム

Editor's note


DE&Iとは、Diversity(ダイバーシティ)、Equity(エクイティ)、Inclusion(インクルージョン)の頭文字を取った言葉で、組織やコミュニティにおいて人種、ジェンダー、年齢、性的指向、障がい、宗教、文化的バックグラウンドなど、様々な特性を持つ構成員が公平に尊重され、差別されることなく参加できるように保障することを意味します。
定義を見てすぐに「退屈な内容だな」とページを閉じるかもしれません。難しい分野のように見えるかもしれませんが、別の視点から見ると、私たちの日常に深く関わっていて、経済、政治、社会だけでなく、企業のマーケティング、コミュニケーションなど、様々な領域に大きな影響を及ぼす分野です。 DE&I担当者として接してきた様々な話をコラムで解き明かしていきますので、気軽にざっと読んでみてください。

 

 

出典: Open AI (ChatGPT) で生成した画像

 

 

#INTRO


自分と本当に違う兄弟や友人、あるいは恋人や配偶者を見ながら、「わあ…どうして自分とこんなにも違うのか」と感じたことはありませんか。私は実の姉と性格がかなり違っていて、母からよく「同じお腹から生まれてきたのに、あなたたちはどうしてこんなに違うの。足して二で割ったらちょうど良かったのに」と言われたりしました。 そういうわけで、幼い頃は姉の行動がどうしても理解できませんでした。でも、時間が経つにつれて、それは「おかしなこと」ではなく、ただ「違うこと」なのだと気づくようになりました。そして、同じ空間でうまく過ごしていくためには、お互いのものの見方をそのまま受け入れたり、ときには一歩引いて配慮したりすることも必要で、その過程で大小様々な努力が必要なのだということも分かるようになりました。

会社も、それほど大きくは違いません。様々な人が集まる組織では、性格から仕事のやり方、意思決定の基準に至るまで、一人ひとり違うのは当然のことです。 この「違い」をお互いに理解し、多様な視点を仕事に積極的に取り入れる文化をつくることができれば、組織はより大きなシナジー効果を生み出せるでしょう。そこで、今日のコラムでは、多様な人材構成と、インクルーシブな組織文化についてお話ししたいと思います。

 

 

1 多様な構成員が共に働く組織

 

私は、CSRの職務を担当する前に、組織文化を担当した経験があります。当時、組織文化のワークショップを行い、最も頻繁に活用していた方法の一つが「性格診断」でした。LCSI、バークマン・メソッドなど、様々な診断を行いましたが、その中でもバークマン・メソッドは、個人の傾向を複数の色で可視化して示す点で印象的でした。

 

 

出典:バークマンコリアサイト、ベーシックレポートサンプル

 

 

この診断では、個人の興味、欲求、ストレス反応、働き方などを、様々な色で表現します。一つの結果の中でも青(興味)、黄(欲求)、緑(組織志向)など、複数の色を一緒に示したりもします。自然に同僚と見比べてみると、自分とは全く異なる組み合わせの色を持つ方も多かったです。

ワークショップ中にある方がこのようなお話をされたことがあります。

「チーム長がどうして私にいつもあんなふうにおっしゃるのか、理解ができないので、もしかしたら私のことを嫌いなのではないかと思いました。ですが、今日診断をしてみて、 ただ私とは内面のあり方が本当に違う人だったんだと思えるようになりました。 もしかすると、私が誤解していたのかもしれませんね。」

私もやはり、会社で誰かと一緒に仕事をしながら「どうして、あんなふうなのだろうか」と思った瞬間がありました。ですが、個人の特性を扱う多様な診断ツールに接し、私自身さえも状況によって理解し難い面を見せるときがあるのに、他人を完全に理解するということは、どれほど難しいことなのか改めて感じました。私が見ている姿は、その人の一面にすぎないのかもしれないという気がしました。 その後は、「理解」しようと努力するよりは、まずありのままに「受け入れ」、「そういうこともあるだろう、自分とは違うから学ぶ点もあるだろう」と考えようと努めるようになりました。

もう一つ、興味深かった点は、もし、一つの組織やチームが一つの色を持つ人たちばかりで構成されていたなら、居心地はよくても、成果を生み出すことは難しいという事実でした。

実際に企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)1)と財務パフォーマンスの関連性を分析した研究では、人材構成が多様なほど、トービンのQ(市場価値/再調達コストの比率)が高くなり、ROA(総資産利益率)も向上するという結果が示されています。

このような流れの中で海外はもちろんのこと、韓国企業も人種、ジェンダー、障がいなど、多様な領域で人材構成のダイバーシティを広げようとする取り組みが続いています。

 

1) Impact of Diversity and Inclusion on Firm Performance (2024, MDPI)

 

 

[画像出典:Google Diversity Annual Report 2024]

 

 

Google社の場合、現在は政治的状況を受けて中止となっていますが、2024年までGoogle Diversity Annual Reportを通じて社員の人材構成を、透明性の高い形で公開してきました。特に、「人種」について詳細なデータを示しています。米国を基準に2014年度と2024年度のデータを比較すると、以下のとおりです。

 

  • Black +社員:約2.4% → 5.7%に増加
  • Hispanic/Latinx+: 約4.5% → 7.5%に増加
  • Asian +社員:約31.5% → 45.7%に増加
  • White +社員:約64.5% → 45.3%に減少

 

ここ10年間で、組織構成におけるダイバーシティが大きく広がったことを確認することができます。 一方、韓国企業では、人種よりも「ジェンダー」、特にジェンダー平等と女性リーダーシップの課題に重点を置く傾向があります。 私が参加しているUNGC DE&Iワーキンググループでも出席企業が「ジェンダー平等」と「女性役員比率」を最も大きな悩みに挙げており、これに関連する政府および公共機関主導のイベントとセミナーもやはり、際立って増えています。このように国や企業によって重点領域が異なるだけで、構成員のダイバーシティを広げようとする取り組みは着実に続いています。

 

 

2 ダイバーシティを価値のあるものにするインクルーシブな文化

 

もちろん、多様な構成員を確保することだけでは、十分ではありません。ダイバーシティはインクルージョンとともに機能するとき、はじめてその価値を発揮します。Equality, Diversity and Inclusion: An International Journal (2025)では、組織におけるDE&Iの取り組みを実際の成果につなげるためには、単なるポリシーや人材確保にとどまらず、 リーダーシップによる推進、制度としての実践、そしてそれを受け入れる組織文化をあわせて構築する必要があると指摘しています。

Microsoft社は、こうした変化を象徴的に示す企業です。サティア・ナデラ氏がCEOに就任して以降、 組織の核となるキーワードを「know-it-all」から「learn-it-all」へと移行し、完璧さや正解を知っている姿勢よりも学習や問いかけ、傾聴を重んじる文化を推進してきました。これは、多様なバックグラウンドを持つ構成員が失敗や反対意見を恐れずに、いつでも積極的に参加できるように励ます土台となり、そこで育まれた心理的安全性は、協働のあり方からイノベーションの力まで、ポジティブな影響をもたらしています。

 

 

出典:Salesforce公式サイト「Equality Group Leader」

 

 

Salesforce社もまた、文化的な宣言にとどまらず、インクルージョンを組織の仕組みの中に具体的に取り入れている事例としてよく取り上げられています。 同社では、「Equality Group」と呼ばれる社員主導のコミュニティが運営されています。人種、ジェンダー、性的指向、障がい、世代、ニューロダイバーシティなど、様々なアイデンティティや経験を軸に構成されたグループです。 例えば、黒人コミュニティを中心としたBOLDforce、LGBTQ+構成員のためのOutforce、障がいおよびアクセシビリティに関する課題を扱うAbilityforce、女性のリーダーシップを支援するWomen's Networkなどがあります。

これらのグループは、単なる交流の場ではありません。構成員の経験を組織の改善課題につなげる窓口の役割を果たしています。特に印象的なのは、これらのグループが誰でも参加できるアライの仕組みとして設計されている点です。 同社ではこうした仕組みを通して、違いを「分離」するのではなく、「つなぐ」ためのリソースとして活用しています。

2社の事例を通してインクルージョンは文化や仕組み、そして日々の行動の中でつくられるということを、改めて感じました。私もまた、組織文化の担当者として仕事をする中で、エンゲージメント調査の結果をモニタリングしていると、「リーダーとの率直なコミュニケーション」、「構成員とのオープンな議論」、「公正な評価と報酬」などのキーワードを目にすることがよくあります。違うという理由だけでお互いを排除することなく、誰もが自由にコミュニケーションを取ることができ、偏見なく公正な評価を受けられる、そんなインクルーシブな文化を求めている構成員が、それだけ多いということでもあります。 組織に多様な人材が入ってこられるように、入り口を広く開くことも重要ですが、一人ひとりが組織の中で安心して声を上げ、成長できる文化をつくることも、同じくらい重要です。

 

 

#OUTRO


職場においても、個人と個人の関係においても、多様な人と交流しながら 「お互いの違い」を受け入れたときに初めてポジティブな変化が生まれるのではないかと思います。今回まで全5回にわたってコラムを書いてきた中で、 DE&Iは私たちと関係のない誰かの話ではなく、私たち全員の日常に密接にかかわっているテーマだということを改めて実感しました。まずは私自身が、他の人をありのままに見つめ、その違いを受け入れられる人になるために努力しようと改めて思うようになりました。 このコラムをお読みになった方々も気づきを得られたことを願い、これまで「DEIインサイト」を一緒に読んでくださったすべての方に深く感謝いたします。

 

 

강예린 프로필 사진
강예린 프로필 사진

カン・イェリン

アモーレパシフィック CSRチーム
CSR/DEI担当
  • 人と組織、社会にポジティブな変化を
    生み出すことを楽しむ9年目のワーカー。
  • 組織文化、そしてCSRの経験をもとに
    企業と社会のDE&I実践が生み出す変化に関心を寄せています。
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