ソングァン食堂のオーナー、ムン・ソンジャさんとソン・ソンチュンさんに会う - AMOREPACIFIC STORIES
#漢江大路100
2026.04.16
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ソングァン食堂のオーナー、ムン・ソンジャさんとソン・ソンチュンさんに会う

食べたら元気が出る素朴なご馳走

「私は普段こういうのはやらないのですが、うちの夫が「アモーレさんだから、やってあげなきゃ」と言って、さっさとインタビューの約束をしちゃったんですよ。話すことなんて何もないし、ただ、私にできることをやってるだけなんだけど、インタビューだなんて。」飾らない言葉の端々から、たっぷりの温かさが伝わってくる。お客さんとの縁を大切にする心、できる最善を尽くして料理に真心を込める思い。ソングァン食堂のオーナー、ムン・ソンジャさんとソン・ソンチュンさんは、ここ20年間漢江大路の発展をともに歩んできた。大きなビルが建つときには、近隣の現場の作業員に温かな食事をつくり、そのビルで働く会社員たちの夜の会食も支えてきた。食べたら元気が出るきちんとした、その温かい食卓の前で多くの人が再び一生懸命生きる力をもらった。

 

 

 

 

 

こんにちは。まず、ご挨拶をお願いします。

ソン・ソンチュン ソングァン食堂を経営しているソン・ソンチュンです。料理は家内がすべて作っているんです。インタビューは家内とやってくださればいいです。

ムン・ソンジャ ムン・ソンジャです。こんなインタビューまでして、何を話せばいいのかわからないけど、まあ、一度やってみましょう。

 

 

アモーレパシフィックの社員たちからもぜひ紹介してほしいと声が寄せられたお店ですし、歴史も長いと聞いています。話すことがないだなんてとんでもありません!ゆっくりお尋ねします。ソングァン食堂を始められたのは何年頃ですか。

ムン・ソンジャ 20年くらいかな。正確に何年だったか覚えていませんね。25年になるか、30年にはまだなってないと思います。私たちが元々龍山のもう少し下の方で魚の商売をしていて、しばらく梧柳洞(オリュドン)に移って食器店をやっていたんですが、アジア通貨危機が起こったんです。そのときは南大門市場でさえ商売にならない時期だったので、もうやめようと思っていたところ、知り合いから「龍山で食堂をやってみない?」と声をかけられました。それで、「うん、わかった」と言って来たんです。住んでいたところだから、特にあれこれ考えることもなかったですね。食堂は初めてだったので周りは私のことをすごく心配しました。3か月も続けられるかなって言われてたんですが、今まで続いています。あの頃の私は、飲食店で働いたこともなければ、飲食店をやったこともなくて、とにかく飲食店の仕事はまったくの素人だったんです。それなのに、思いがけず始めることになったんです。こんなに長く続けるとは思わなかった。

 

 

初めて挑戦されるのに、どうしてそんな勇気が出たのですか。

ムン・ソンジャ ただ、いつも食べてるようにすればいいんだから、そんなに難しいのかなって思ってたんです。

 

 

もともと料理の腕がよかったんですね。

ムン・ソンジャ 料理の腕なんてないですよ。自分が上手なのかどうかもわかりません。ただ、ご飯を炊いたり、おかずを作ったり、料理をすることが自分には合っていたんです。

 

 

初めてお店を開かれたわけですが、お店の名前やメニューはどうやってお決めになったのですか?

ソン・ソンチュン 私たちが引き継ぐ前から、店の名前は「ソングァン食堂」でした。もともとこのビルがソングァンビルです。引き継いだときのまま、何も変えずに、その翌日から自分のやり方でやりました。最初は海鮮鍋をメインにしたんです。サンナクチ(生きたタコ)も出したし、でも、水槽に入れておくと魚がしょっちゅう死んじゃって、これはだめだなと思って。それに、海鮮はすごく不安定で。ある日は5千ウォンで、またある日は1万ウォンで。値段を決めて出していたら、損をするときが多かったです。それで、肉料理を増やしました。最初は、食べやすいようにサムギョプサルを一口サイズに切って出していたんですが、あるお客さんから「サムギョプサルは切らないで、長いまま出して」と言われて、そうしてみたら、私も楽だし、みんなにも喜ばれました。その後、隣に鶏料理の店ができたので、鶏料理も加えるようになって、そうしているうちにメニューが海鮮中心から肉料理中心へと変わっていったんです。

 

 

海鮮料理を完全になくしたわけではないんですね。今もメニューには、海鮮料理と肉料理の両方があります。

ムン・ソンジャ だから、私たちがここまで持ちこたえたんです。海に問題があれば、肉料理を出して、鳥インフルエンザとか家畜の病気が発生したら、タコ炒めのような海鮮を出す。料理が上手だったからここまで続いたのではなくて、その都度その都度食べられるものを出して持ちこたえたのです。ずっと、ただ一生懸命やってきただけです。実は、お客さんが喜ぶものを出していたら、いつの間にかメニューがいろいろ増えていったんです。「これが食べたい」と言われたら、断れなくて作ってあげたんです。

 

 

 

 

 

食堂を始める前は、龍山で魚屋をされてたんですね。もともと龍山のご出身なのですか。

ソン・ソンチュン 私たちは全羅道の新安出身なんです。向こうに家を建てて住んでたんですが、やっぱり人はソウルに出て行かなきゃいけないんじゃないかと思って、みんなで上京したんです。初めてソウルに来て、家を探そうと龍山駅を通り過ぎたとき、ちょうど知り合いに会ったんです。昔はここに線路の下をくぐる道があったんですよ。友達が農心に勤めていて、その友達を訪ねようとその道を通ったんですが、誰かが私に声をかけてきたんです。よく見たら故郷の知り合いで、その人がここに住んでいたんですよ。それで、ここに住み着くことになったんです。そうしているうちに、魚屋を始めて。私が23歳くらいの頃ですから、もう40年も前の話ですね。

 

 

40年になるなら、もうすっかり龍山の地元の方ですね。

ソン・ソンチュン しばらく梧柳洞に移って食器の店をやっていたことがありますが、それでも地元の人間みたいなものですよ。町のおばさんたちは今もうちの店で集まるし、この土曜日にも集まりがあります。龍山に80歳を超える人が多いのですが、まだこうして集まってるんですよ。

 

 

この辺りが変わっていくのをすべて見て来られたのでしょうね。

ムン・ソンジャ もちろんです。この路地も昔はこんなふうじゃなかったです。ここの前にビルが建つ前に倉庫のような建物もありましたし、今のようになったのはここ数年のことです。この路地はもともと材木屋が立ち並ぶ路地です。でも、今は食堂が立ち並ぶ路地になりました。この前に見える大きなビルを建てていたとき、皆うちの店で食事をして、龍山駅が変わるときの現場にいた人たちも皆ここに来て食事をしました。アモーレのビルが建っていくのも全部見ましたよ。ほら、うちの店の外、左側にテントが張ってある建物が見えるでしょう。最初はあの家に住んでいたんです。

 

 

 

 

 

時代によってお客様もかなり変わったのでしょうね。

ソン・ソンチュン アモーレや、鉄道庁の方々は、昔から変わらずよく来てくださいます。それから昔は電気街の方々がすごくたくさん来られました。昔は電気街が物凄く繁盛していましたからね。その頃は若い人たちが週に何度も会食をしていました。うちの店で社員食堂代わりに毎日昼ご飯を食べていた電子商街の会社もありましたが、その中に、一度にご飯を5杯も食べる若い男性がいたんです。ご飯はおかわり自由だったから、どんどん食べるんですよ。最後におこげにしてお湯を入れて出したんですが、それも全部きれいに飲み干すんですよ。すごく痩せていたのに、本当によく食べる人でした。そこの社長さんがうちの社員がご飯をたくさん食べるから、その分お金をもっと払うって言ったんですが、もらわなかったですよ。ご飯分のお金なんてもらえませんよ。きっとどこか満たされないものがあって、たくさん食べていたんだろうと思うし、だから、「よく食べてくれるからうれしい」って言ってたんですよ。その社長さんは、今でもうちの店に来てくださいます。

 

 

アモーレパシフィックの社員の方々との思い出もありますよね。

ムン・ソンジャ ありますよ。昔から食事しによく来て、会食もよくしてました。去年の年末にもアモーレから会食しに来られて、誰かがテレビに出たって拍手してましたよ。そのとき、隣の龍山駅の方たちも会食中だったんですが、一緒に拍手してましたよ。実は私、ちょっと悪いところがあって、親切にいろいろ聞いたりするのが苦手なんです。どこの会社から来られたのかって聞いたりしないといけないんですが、どうしてもできないんですよ。アモーレの方だってわかっても、こちらから声をかけたりできないんですよ。うちの食堂によく来る年下の知り合いがいるんですけど、昨日も来て「アモーレのチーム長がこの店のことよく知ってるって。しょっちゅう行ってるって言ってたよ」って言うんですが、実際に会ってみないとわからないし、私が話だけで分かるはずがないって言いましたよ。

 

 

アモーレパシフィックの建物が新しく建てられたときはどうでしたか?

ムン・ソンジャ 正直に言っていいですか。私は他人のことをあまり気にしないんです。隣の店の人が出勤してこなくてもよく分からないんです。その代わり、この町に新しく誰かが入ってきても、口出しはしません。最初に店をオープンしたときに、一言だけ言うんです。「せっかくここに来たんだから、自分の店も人の店も関係なく、一緒に頑張りましょう」って。周りの店がうまくいくからって、やっかんだりしちゃいけないんですよ。私にとってもいいことなんです。隣の店にお客さんがたくさん来てこそ、うちの店もにぎわうのですから。この前も、近所の店の店主さんが店をやめて出ていくときに、「ありがとう」と言って、贈り物を持ってきてくれたんです。

 

 

食堂を経営する中で、大変なことはありませんでしたか。

ソン・ソンチュン 欲張らずに頑張ろうという思いでやってたので、大きな危機はありませんでした。コロナ禍のときは、町全体が大変だったでしょ。商売があまりうまくいかないから、皆大変だったけど、私は商売がうまくいかなくてもいいので、とにかくコロナにだけかからないようにしようと思ってました。どうせ店を売るわけでもないし、コロナにさえかからなかったら、何とか道はあると思ってました。病気になったらお終いだし。お祈りを一生懸命したからか、うちの食堂のスタッフは皆コロナにかからずに乗り切りました。でも、会食をしないから売上がぐんと落ち込みました。まあ、会社にもあまり出勤しなかった頃だから。毎日仕入れていた食材の量を減らしたりしながら、何とか持ちこたえました。

 

 

食材は毎日仕入れているのですか?

ムン・ソンジャ ええ。朝の6時に起きて市場に行きます。いいものを買うには早く行かないといけません。注文して届けてもらうと、自分の期待に沿うものがなかなか手に入りません。だから私は、食材を注文して届けてもらうことは絶対にしません。海産物、農産物、それぞれ別の市場に行くんです。一番先に永登浦(ヨンドゥンポ)の栄一(ヨンイル)市場に行って唐辛子粉やごま油を買います。ごま油も、必ずその店で搾ったものを買います。野菜も買って、その先の汝矣島(ヨイド)の方に昔ながらの市場があるんですが、そこに大きなお米の卸売店があるんです。お米も自分で見て、一番いいものを選んで買います。それから、鷺梁津(ノリャンジン)に行って海産物を買うんです。朝電話をしていいものを取っておくように頼みます。例えば、3万ウォンのものと3万5千ウォンのものがあれば、私は絶対に3万5千ウォンのものを買います。野菜も同じように高いものを買います。私の目で確認しないと、気が済まないので毎日市場に行くんです。

 

 

朝から忙しく動かれるんですね。オープンは11時ですよね?

ムン・ソンジャ お客さんを迎えるのは11時ですけど、市場で仕入れを済ませたら、8時には店に出て準備を始めます。仕込みに時間が結構かかります。いったん、店を開けると、水をたらいにたっぷり張って、一番最初に箸やスプーンを煮沸して、ふきんも煮沸して、ホールの準備をします。その間にナムルの下ごしらえをして、ゆでます。そんなふうに毎日、その日に出すおかずを作るんです。

 

 

 

 

 

おかずの種類がたくさんありますが、すべてご自身で作られているのですか。

ムン・ソンジャ キムチなんかは予め漬けておきますが、キムチも今まで商売をしていて、一度も買ってお客さんに出したことはありません。いや、たった一度だけ買ったな。嘘をついちゃいけないから、ちゃんと話さないとね。龍山駅舎を新しく建てていたころ、工事現場の人たちの食事をうちで出していたんですが、キムチチゲがメニューにありました。毎日あれだけ大勢の人たちにチゲを出すには、キムチの仕込みが手に負えなかったんです。それで、たった一度買ったんですが、全部残して食べなかったんです。それで、もうキムチチゲをメニューから外してしまいました。今はそこまではできませんが、開店した頃は、唐辛子もニンニクも全部自分ですりおろしてキムチを漬けました。今は玉ねぎ、りんごなんかを私が市場で選んで、その店ですりおろして持って帰ります。味の好みは人それぞれだから、おいしいかどうかは私にはわかりません。でも、うちの店のおかずには本当に手間をかけています。調味料も惜しまず使いますし、中に入れる食材も新鮮なものを使っています。

 

 

特に、豚肉のピリ辛炒めがすごく有名だそうですね。

ムン・ソンジャ 有名ですか。ただ、私のやり方でつくったものです。他の人は生の肉に味付けして炒めるじゃないですか。そうすると、肉に十分火が通りません。私はそういうふうにはせずに、いったん肉を焼きます。出てくるのが遅いと言われることもありますが、それでもちゃんと焼きます。油を引かずに肉の脂でフライパンに焦げつかないようによく焼いてから、玉ねぎを入れてさらに焼きます。それから味付けをします。ニンニク、味の素をほんの少し、砂糖も少し、ごまも少し、コチュジャンを入れて炒めてから、セリとニラを入れます。最後に、エゴマの粉とゴマを細かく挽いて上から振りかけます。見た目もよくなるし、食べる人に元気でいてもらえるように、体によい食材を選んで真心を込めてつくっています。これが合っているのか間違っているのか分かりませんけど、私の頭にはそれしかないから、ずっとそのやり方でやっているんです。

 

 

先に焼いてから味付けをするというのはどこで習われたんですか。

ムン・ソンジャ 習ったわけじゃないんです。自分としては、せっかくなら全部火を通してから食べるほうがいいんじゃないか、そうすれば味付けもまんべんなく染み込むでしょうし。エゴマの粉やすりごまをかけたら、もっとおいしくなるんじゃないかと思って、そうしたんです。最初から味付けをして焼いてしまうと、簡単で楽でしょうけど、それは私のやり方じゃないんです。

 

 

お客様には豚肉のピリ辛炒めが人気ですが、オーナーがお勧めするメニューは何ですか。

ムン・ソンジャ エイの和え物です。最初はおかずのサービスとして出していたんですが、今は追加するとお代をいただいています。何しろ材料費がずいぶん上がったので。あ、昼間はお出しできなくて、お酒を飲まれる夜のお客さんにおかずとして出しています。それと、おかずの中では桔梗の根も、私は丸ごとの桔梗の根を和えてます。あるお客さんは、ツルニンジンだと思って食べてらっしゃいます。「ツルニンジンですか」って聞かれたら、嘘はつけないので、「いいえ、桔梗の根ですよ」って正直に言います。でも、ツルニンジンにも負けないくらいおいしいですよ。

 

 

食材の仕入れからおかず作りまで、なかなか休む暇もありませんね。

ムン・ソンジャ 私が病気になったら店を閉めないといけないです。休むのは日曜日と、旧正月や秋夕(チュソク)のときくらいで、それ以外は休めませんね。去年の4月3日に友達が済州島に行くって言うから、店を閉めて行きました。友達には、「あなた、ずいぶん高い旅行に来たね」って言われました(笑)。娘が9泊10日のクルーズ旅行に行かせてくれるって言ってるんですけど、それにも行けずにいます。ここの商人会で金剛山に行ったときも、私は行けませんでした。会費から費用を出す旅行だったんですけど、行けなかったんですよ。ただ店を開けてるだけです。別に、お客さんのことを考えてるなんて、そんな大げさなことじゃなくて、いつも開けている時間には開けないといけないから、そうしているだけなんです。お客さんが来て、みんなで会食をしながら、うちの料理を前にして楽しい時間を過ごしているのを見るのは、うれしいですしね。

 

 

最後におっしゃりたいことがあれば一言お願いします。

ソン・ソンチュン レビューか何か、そこを見ると店主が不親切だという話もあるんですけど、うちはそういう性分なんですよ。今日来てくださったから、「いやあ、よく来てくれました!」なんて大げさに喜んだりすると、かえって失敗することもあるじゃないですか。だからうちは、今日初めて来ても、10回来ても、いつも同じでありたいと思っているんです。そういうつもりなので、どうかわかってもらえたらうれしいです。私はもともとこういうのは苦手なんですけど、アモーレだから、やらないわけにはいかないですよね。話も上手じゃないですしね。それでも、わざわざ来てくださって、ありがとうございます。これからもたくさん足を運んでくださいね。

 

 

 

 

Information

ソングァン食堂

  • 住所:ソウル市龍山区セチャン路213-17 ソングァンビル1階
  • 営業時間:11:30–22:00
  • メニュー:味噌チゲ 8,000ウォン、豚肉のピリ辛炒め(チェユクポックム2人前)20,000ウォン

 

 

アモーレパシフィックのメンバーが日々身近に感じ、インスピレーションを得ている漢江大路の大切な隣人たちをご紹介します。
情熱と信念、ひたむきな思いを胸にそれぞれの場所を守り続けてきたオーナーの皆さまの物語は、私たちにとって最も身近なインスピレーションとなります。
漢江大路100 隣人の物語の中から美しさを見つけてみてください。

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