「美しい人」とは誰のことだろうか。 - AMOREPACIFIC STORIES
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2026.09.10
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「美しい人」とは誰のことだろうか。

人がいなければ、AI時代なんて何の意味があるのでしょうか #3

 

文

オ・スンウン アモーレパシフィック財団

Editor's Note


アモーレパシフィック財団では、「学術研究」、特に人文学を通じて私たちの暮らしを改めて見つめ直すコンテンツを制作しています。よく見てみると、古くからの研究にも、今の暮らしと結びつけて考えられることがたくさんあります。自分自身や身の回りを見つめ直す人文学について、私がわかりやすくお伝えします。

 

 

#INTRO

 

(左) 映画『オデュッセイア』のポスター、出典:ユニバーサル・ピクチャーズ
(右) ヤーコブ・ヨルダーンスの絵画『テティスとペレウスの結婚』、出典:プラド美術館

 

 

最近、話題となったクリストファー・ノーラン監督の映画『オデュッセイア』を皆さんご覧になりましたか。トロイア戦争を勝利に導いた英雄「オデュッセウス」が、戦争が終わった後、故郷へ帰るまでの道のりを描いた作品です。この戦争が始まったときに遡ると、意外にも「美しさ」というテーマが浮かび上がります。

 

発端は、結婚式に招かれなかった不和の女神エリスが投げ入れた黄金のリンゴでした。「最も美しい女神へ」と書かれたリンゴをめぐり、ヘラ、アテナ、アフロディーテの3人の女神が争うことになり、人間であるトロイアの王子パリスが、その審判役を務めることになります。3人の女神からそれぞれ異なる提案を受けたパリスは、アフロディーテを最も美しい女神に選びます。その見返りとして、アフロディーテはパリスがこの世で最も美しい女性ヘレネと結ばれるよう力を貸します。ただ、一つ問題なのは、ヘレネには、すでに夫がいたということです。その夫こそ、スパルタの王メネラオスで、王妃を奪われたメネラオスは、兄のアガメムノンに助けを求めます。アガメムノンがギリシャ連合軍を結成し、トロイアへと向かったことから始まったのが、トロイア戦争です。

 

10年間続いた戦争の原因となった美しさ。いったいどれほど美しかったから、既に夫のいる女性を連れ去り、そのことが戦争にまで発展したのでしょうか。「美しさ」とは、いったいどのような力を持ち、どのように定義できるものなのか、気になってきます。

 

 

出典:AIで生成した画像

 

 

「美」という文字を読み解く

 

出典:NAVER漢字辞典

 

 

私たちがよく使う「美」という字を分解してみると、「羊」と「大」が組み合わさっています。諸説ありますが、古代では大きくて太った羊が豊かさや良いものの象徴だったことから、「大きくて良いもの」を美しいと考えたという説が有力だそうです。

 

あるいは、頭の飾りをつけた人の姿をかたどったものだという解釈もあります。しかし、美しさが本当にこのような目に見える基準だけで、明確に説明できるものなのでしょうか。今から1,800年前、中国の学者・王弼(オウヒツ)は、このような注釈を残しました。「美というものは、人々が心で楽しむものだ。」

 

昔から人々は、単に目の前に見える姿だけでなく、それを見つめる心や眼差しからも美しさを見いだしてきたのです。では、さまざまな物語に伝わる「美しい人」をたどりながら、美しさとは、どこから生まれるのか、手がかりを探ってみます。

 

 

外見から生まれる美しさ:水路(スロ)夫人

 

出典:三陟市文化観光ホームページ

 

 

亀よ、亀よ、水路を差し出せ
人の妻を奪った罪は、どれほど重いことか
もし逆らって、差し出さないなら
網で捕らえて、焼いて食べてしまおう

 

海の龍が水路夫人をさらった際に、ある老人に従って民衆が一緒に歌ったとされる歌です。新羅時代の絶世の美女である水路夫人は、あまりの美しさに、神秘的な存在に度々さらわれたそうです。さらに、龍宮から戻った後は、この世にはない香りが衣に移り、さらに魅惑的な女性になったと伝えられています。

 

トロイア戦争のきっかけとなったヘレネと同じように、「いったいどれほど美しかったら…」という言葉が自然に出てきますが、実際に水路夫人がどれほど美しかったのか、私たちは知るすべがありません。目はどうだったのか、顔立ちはどうだったのか、具体的な描写はほとんどなく、記録に残されているのは、ただ彼女を取り巻く人々の反応だけだからです。もしかすると、私たちが知っているのは水路夫人の顔ではなく、その顔を長い間想像し続けてきた人々の思いなのかもしれません。物語を聞く人はそれぞれ、最も美しい顔を心に浮かべてきたのでしょうから。

 

 

行動から滲み出る美しさ:バリ姫

 

出典:教保文庫

 

 

一方、美しさは外見ではなく、その人の行いから滲み出る場合もあります。生まれてすぐに捨てられましたが、自分を捨てた親(王)を救うため、薬水(薬のように病を治してくれる湧き水)を求めて、あの世へと旅立ったバリ姫の物語がそうです。王は恩返しとして、望むものは何でも与えると言いましたが、彼女は何も望みません。その代わりに、あの世へ向かう旅の途中で目にした、苦しむ人々のことを記憶しながら、現世での暮らしを手放し、あの世へ向かう人々を導く神となるのです。

 

バリは自己犠牲と献身の象徴として語り継がれ、現在も様々な舞台芸術に登場しています。彼女の容姿についての話は、どこにもありませんが、私たちが誰かを美しいと感じる瞬間も、これと似ているのではないでしょうか。美しさは外見だけでなく、その人が下した選択や行いの中にも見いだされることがあるのです。

 

 

人々によって完成される美しさ:麻姑

 

出典:ウィキペディア

 

 

中国の女神・麻姑は、人々をうっとりさせるほどの類まれな美貌を持つ存在として描かれています。しかし、言い伝えられた話の中には、麻姑は顔じゅうに天然痘の痕が残る、醜い女性だったという説もあります。始皇帝の娘として生まれた彼女は、大規模な土木工事に疲れ果てた人々の苦痛を見るに忍びなく、父に慈悲を施すよう哀願しましたが、処刑されたと伝えられています。さらに、民を哀れに思ったという話や、仙人となって人々を守ったという話が加わり、後世の物語の中の麻姑は、美しく神秘的な存在として描かれています。

 

彼女をめぐる善行の物語が、実は醜女だった麻姑を美しく変えたのでしょう。結局のところ、その人を美しい人として描き出すのは、その人を見つめ、記憶し、語り継ぐ人々なのかもしれません。

 

 

「美しい人」とは、誰のことだろうか?

 

世の中には、様々な美しさがあります。通りすがりに足を止めて振り返りたくなるような外見的な美しさ、行いから滲み出る美しさ、人々によって完成される美しさなど。時代や人によって感じる美しさは、すべて違うからこそ、長く受け継がれていく美しさとは、単なる顔立ちではなく、心や行い、そして物語として伝わっていくものではないかと思います。物語を聞く人が、自分が考える美しさを重ね合わせながら、物語を解釈していくからです。

 

美しい人とは、完璧な人ではなく、誰かの心に美しい姿で残っている人だという気がします。皆さんは、誰かにとって美しい人として記憶に残っていますか。

 

*本コラムは、アモーレパシフィック財団の研究支援により出版されたアジアの美シリーズ『美しさ、その不滅の物語』を参考にして書かれたものです。

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オ・スンウン

 

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